保育士の一人暮らし、家賃補助(住宅手当)はいつまでもらえる?

一人暮らしの保育士は家賃補助(住宅手当)がもらえるの?

保育士不足の最近、新たに実施された家賃補助のシステムは正しく理解して活用できていますか?
家賃補助がどういった形でいつまで続くのか、今回はお話していきたいと思います。

“保育園落ちた日本死ね”のワードで国会でも大きく取り上げられた保育園・保育士不足問題ですが、その中でも保育士の給与の低さが問題となりましたね。
たしかに保育士の給与は高給取りとは言いづらく、特に一人暮らしをしながら保育士をしている方は給与の多くを家賃に使っていて、なかなかゆとりをもった生活というのは厳しいものです。
こういった現状と給与に見合わない仕事量のこともあり、近年では保育士免許を持っていても保育士の仕事についていないいわゆる“潜在保育士”が増えています。

このままの保育士の給与のままでは生活が苦しいという理由で潜在保育士になった方々や、現在生活にゆとりを持てていない方々が気になっているであろう「家賃補助(住宅手当)」について、現在どの程度広がりを見せていていつまで続くのかをふまえてご紹介していきます。

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一人暮らしの保育士でも安心の家賃補助(住宅手当)とは?

家賃補助とは現在支給されている給与とは別に家賃分として支給される手当のことです。

この家賃補助は自治体に申請して承認された保育園を経由し、私たち保育士に支払われる手当なので、“家賃の〇割を保育園が負担”や“月に〇〇円まで支給”など、手当の金額や支払う形は保育園によって異なります。
家賃補助が手厚い保育園の場合、ほとんど家賃を負担せずに一人暮らしをすることも可能です。
特に東京は家賃が高いので、こんな風に手当として家賃を負担してもらえるととても助かりますよね。
家賃補助を利用するためにも、支給方法に関しては自分の勤めている保育園やこれから就職を考えている保育園がどのような形で家賃補助をしてくれるのかを確認しましょう。

東京での家賃補助制度は基本的に82,000円までの家賃のアパートやマンションを保育園側が借り上げ、一定の条件を満たした保育士を採用して住まわせた場合に、その家賃の8分の7を都や区が負担するという制度のため、多くの場合は保育園側で住居が定められています。
しかし、保育園によっては自分で選んだ物件でも家賃補助を利用できる場合もあるので、すでに一人暮らしをしていて引っ越しには抵抗のある保育士でも確認してみましょう。

社宅制度は自分で一人暮らしの部屋を選びたい保育士にとって好きな物件を選べないのはちょっと…と考えがちですが、この社宅制度にももちろんメリットがありますよ!
自身で物件を選択して家賃補助を給付される場合に比べ、補助される金額が高い傾向があり、加えて設備が充実、入居と退去の手続きが楽といったメリットがあります。

運営会社の規模が大きいと複数社宅を所有していて、本人の希望により選択することも可能であったりします。
社宅というと寮のようなものを想像してしまいがちですが、オートロックマンションを利用している場合もあるので、意外と女性でも住みやすい環境が整っています。

厚生労働省が推奨している政策

この家賃補助手当は正式名称を「保育士宿舎借り上げ支援事業」といい厚生労働省が推奨している政策です。
国が東京都だけでなく全国に推し進めようとしている政策の一つであり、待機児童が多い東京で保育士が働きやすい環境をつくり、保育士を増やすことによって待機児童を減らそうという目的として始められました。

東京は家賃も高いので、一人暮らしをしながら働くとなると手取りの高い職業でないと厳しい場合も多く、東京で働きたい保育士にとっても嬉しい政策です。
近い将来全国で保育士の給与には家賃補助がつくのが当たり前になったりするんでしょうか?

保育園の財政状況が悪く、なかなか保育園側も保育士の給料を上げられない現状なので、このように国や自治体からこのような手当がつけられるのは生活の大きな支えとなります。

一人暮らしの保育士でも家賃補助を受けるには条件がある?

保育園によって異なりますが、多くの場合は家賃補助を受けるにあたり条件があります。
前述のとおり、家賃補助が出されるのは自治体に承認された保育園だけなので、保育園自体が給付対象外の場合も考えられます。保育園自体に家賃補助が適応されるのかをまずは確認しましょう。

また、承認された保育園でも保育士全員に家賃手当が出せるかと言ったらそうでない場合も多く、保育園によっては家賃手当の支給に条件を設けている園も多くあります。
例えば、「保育園から〇㎞以内に住んでいる」「実家が遠く、一人暮らしをしないと勤務が大変 」などの条件です。
実家を離れて暮らしていて、保育園の近くに住んでいる場合でも同居人がいる場合は支給の対象から外れることもあります。基本的に住宅手当は世帯主に対して支給されるものなので、同居をしている場合にはどちらか一方のみに支給される形となるのです。

さらに、保育園の近くへ東京都外から引っ越してくる場合でも、すでに一都三県内に住んでいる人には家賃補助がでないなど細かな条件を設けている保育園があります。
これから住む予定の場所の他にも、現在の住居地を考慮しなければならない点に注意しましょう。

家賃補助はいくらもらえるの?

次に、気になる家賃補助ですが、いくらくらい支給されるのでしょう。自治体によって支給金額は異なるため、今回は東京を例に挙げて説明していきます。
現在の東京都では家賃補助に対し最大82,000円が支払われるように定められています。
この家賃補助に加え、次のように区によっては独自に助成金を上乗せしているところもあるのです。

  • 千代田区⇒13万円
  • 港区⇒11万2千円
  • 渋谷区⇒10万円
  • 目黒区⇒9万2千円

その地区の物件を選ぶことを条件に、かなり高額な家賃補助を行っているところがあります。
家賃の高い地域でなかなか一人暮らしには大変は地域ですが、ここまで家賃補助をしてもらえると一人暮らしもしやすいですね。

国の制度では採用5年以内の保育士が対象

保育園が家賃補助制度をしていて、自分もその条件をクリアしていても家賃補助がもらえない場合があります。
家賃補助を受け取ることが出来るのは園に保育士として採用されてから5年以内に限ると定められているため、勤続年数が長い保育士が受け取れない場合があるのです。

もともと待機児童が多い東京に保育士を集める目的と、安定した生活を提供して保育士を続ける環境を整えてほしいという観点からこの家賃補助が始まったので長く続ける予定がなかったのかもしれません。

東京都は6年以上に拡充

この家賃補助が5年しか支給されない問題に対し、最近ではこの縛りをなくそうといった動きがみられるようになりました。
小池知事が5年という制限を廃止して無期限にすると明言してから 、実際に平成29年度からは適用される条件が5年から10年に拡大されました。
将来的に保育士の給与に家賃手当がつくのが当たり前になれば、保育士としてとてもありがたいと思うのですが、国の財源の問題で厳しい面もあるそうです。

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東京都に住んでいない人は家賃補助対象になる?

これまで紹介していた家賃補助はすべて東京都内のお話でしたが、東京以外にも家賃補助を行っている地区ももちろんあります。

神奈川県の横浜市は最大61,000円、千葉県の船橋市・野田市・流山市では最大82,000円、埼玉県のさいたま市は最大80,000円戸田市では最大で82,000円が支給されるようになっています。
国が全国へ推し進めている政策ですので、これからもどんどん家賃補助の対象地域が増えるのではないでしょうか。

保育士として働いている方々の中には勤務地が東京で住まいが東京都外という方も少なくないと思いますが、そういった場合の家賃補助は条件によって受けられないこともあります。
条件は保育園によって変わりますが、園から〇㎞以内の住居に住むことを条件としている場合にその条件をオーバーしてしまう場合が多く、家賃補助を受けられない可能性があるのです。

東京都と地方の家賃補助(住宅手当)の差

先ほども少しご紹介しましたが、東京都以外にも家賃補助を行っている地域・地区はあります。

しかし、すべてが東京都のように82,000円を補助しているわけではありません。
これは冒頭でもふれた保育士不足、さらに待機児童問題が東京都では深刻だからです。

また、保育園が補助金を出すところも多いことが東京都の特徴でもあります。
実質、保育士が家賃を負担することなく生活できるほどです。

一方で、やはり地方は補助金額が若干下がる傾向にあります。
それでも、少しでも家賃補助をしてもらえるのは保育士にとってありがたいことですね。

東京都外に住んでいて、通勤が上り電車になるので毎朝が大変、などという方はこれを機に都内へ引っ越してもいいかもしれません。
勤務地から近い場所に住むことで通勤退勤時間の減少になるので、自分の時間も取りやすくなるでしょう。

一人暮らしの保育士に対する家賃補助はいつまで?

家賃補助制度が始まったころはその補助金の財源の不透明さからあまり広く知れ渡りませんでしたが、東京以外の県も家賃補助に対し前向きに活動している様子をみるとしばらくは家賃補助が出されるのではないでしょうか?
待機児童が国会で話題になったこともあり、保育士不足は国の大きな問題になっていますので、保育士確保のために国が力を入れてくれているお陰かもしれません。

ただし、先述したとおり財源の問題がある政策なので少しずつ貯金をして自分の暮らしの支えを作る必要がありそうです。

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保育士借り上げ社宅制度(家賃補助・住宅手当)で離職率が下がった?

保育士借り上げ社宅制度は、園や運営元が契約しているマンションやアパートに住むことができる制度です。制度が改善される前は、横浜では家賃8万円を上限として入社5年以内といった規定ありました。東京都では、上限7万円で入社5年以内という規定が多かったといいます。小池都知事が就任してからは、入社5年以内という条件が撤去されることになりました。

保育士借り上げ社宅制度の適用条件が緩和されたことにより、東京都でも一人暮らしをしながら保育士として働くことが可能となりました。さらに一人暮らしだけでなく、結婚している家庭においてもこの制度を利用することが可能となり、男性保育士に大きな影響をもたらしたのです。ただし、結婚している家庭が利用する場合は、家計所得の割合などの条件がつきます。条件つきではありますが、制度の条件緩和によって、保育士の低賃金問題で結婚を機に退職を考える男性保育士の離職率の低下につなげることができたのです。
また、保育士借り上げ社宅制度によって、地方在住の男性保育士の上京が可能となったことで、地方での修業受け入れ先がないという問題の解決にも導きました。

世帯主として家計を支えるシングルマザーの保育士も、制度の改善によって、経済的な負担が小さくなり、仕事に注力できるようになったといいます。
保育士借り上げ社宅制度が、男性保育士の離職率を低下させたことはもちろんですが、保育士業界全体に与えた影響はとても大きいのです。

都内で家賃補助が受けられる保育園

心強い家賃補助の存在とその内容を知って貰えたでしょうか。
現状、保育士の給与は低く、一人暮らしにはなかなか厳しい環境ですが、それでも一人暮らしで保育士を続けている方々にはこの家賃補助(借り上げ制度)を是非利用してほしいです。
せっかく国が力を入れて保育士の働きやすい環境づくりをしているのですから率先して利用していきましょう!

ここからは家賃補助が受けられる保育園をご紹介していきます。

ドリームキッズ保育園

有限会社COCOが運営している保育園です。
東京・池袋に2園、西東京市、小金井市、小平士に各1園の計5園があり、すべての保育園が認可・認証を得ています。
正社員募集には月82,000円までの家賃補助が受けられるようになっており、その他福利厚生も豊富な働きやすい環境が整っています。

ドリームキッズ保育園

キッズガーデン

Kids Smile Project社の運営する保育園で、東京をメインに神奈川、愛知に展開しています。
都内保育園の家賃補助は月80,000円までの支給ですが、一都三県以外から引っ越して入職する場合は引っ越し代の補助も出るそうです。

キッズガーデン

コンビプラザ

コンビウィズ株式会社の運営する保育園です。公設民営の保育園も3園あります。
募集要項で単身独身者に限る家賃補助は確認できましたが、金額は明記されていませんでした。
寮や社宅はないそうなので、自分で住居を見つける必要があるようです。

コンビプラザ

あい・あい保育園

株式会社global bridgeが運営している保育園です。
東京・千葉・神奈川と大阪に保育園を持ち、比較的中規模保育園が多いのが特徴です。社宅制度で家賃補助があるようですが、金額については記載がありません。
しかし、敷金・礼金は不要のようです。

あい・あい保育園

太陽の子

HITOWAキッズライフ株式会社の運営する保育園で、一都三県の他に北海道にも保育園を有しています。
家賃補助には社宅と現在かかっている家賃に対して手当がでる2通りあるようです。
手当の金額は条件により異なり、社宅の場合は5割負担で利用できるそうです。

太陽の子

一人暮らしの保育士は家賃補助を利用しましょう

広がりを見せる家賃補助ですが、実際には保育園によって支給の形式に違いがあるため、自分の希望する支給方法をしてくれるのか確認することが大切となってきます。
最近では保育士の正社員募集に対し、家賃補助が出ることが増えてきましたがどこの保育園も付くわけではなく、各園条件がある場合が多いので利用を考える際には自分の現在の状況で利用できるのか保育園側と相談していきましょう。

しかし、一人暮らしを考えている保育士や、一人暮らし中の保育士の大きな支えとなる家賃補助ですので上手に利用していきたいですね。