「早く宿題をやりなさい」
「ゲームばかりしていないで勉強しなさい」
皆さんはお子さんに対して、ついこのような言葉がけをしてしまった経験はありませんか?
子供には将来、自主的に勉強したり物事を考えたりする子供になってもらいたいと思うのが親心。
でも現実はそううまくいかないものですよね。
自主性のない子供が多い原因は、長年続く受動的な日本の学校教育のシステムにあると言われています。
児童期・青年期に自主性が十分育たなかった結果、学業は優秀でも社会に出てから苦労をするようなケースが後を絶たないのだとか。
「指示されたことはできるけれど、自分で考えて行動できない」いわゆる“指示待ち人間”の誕生です。
そんな日本とは正反対の教育をおこなっている国があります。
その国の名は、フィンランド。
かつては日本同様詰め込み教育で子供の自主性を潰していた過去を持ちますが、その後大々的な教育改革をおこなった結果、子供たちの自主性を伸ばす教育に成功。
長年の問題だった、個人の教育格差も狭めることができたのだとか。
そこで今日は、ぜひ日本でも真似してほしいフィンランドの教育改革や教育法の特徴について、お話していきたいと思います。
目次
世界を驚かせたフィンランドの教育改革とは?
フィンランドが驚くべき教育改革をおこなったのは、今からおよそ40年前。
これにより、現在のフィンランドの子供たちの学力は飛躍的に向上したと言います。
ではフィンランドでは一体どのような教育改革をおこなったのか、具体的に見ていきましょう。
逆転の法則?すべてのレベルの子供たちを同じクラスに
実は1970年までフィンランドは、教育格差の大きい国でした。
その後1980年代中期までは生徒のレベルを3つに分け、レベルごと別々のクラスで授業を受けさせる教育をおこなっていました。
その結果、勉強ができる子供とできない子供の差は広がるばかり。
そこで1980年代中期に従来のレベル別の教育を撤廃、全てのレベルの生徒を同じクラスで勉強させる教育改革をおこないました。
その結果フィンランドでは、2000年におこなわれた国際学力調査、通称PISAと呼ばれる世界的な調査において、異なる学校の生徒同士の学習パフォーマンスの差はわずか5%という数字をたたき出したそうです。
教育改革を開始してからわずか20年で、これだけ皆が均等なレベルに達することができる教育システムを作り上げたのは、後にも先にもフィンランドだけではないでしょうか。
フィンランド教育法のここがすごい!3つの特徴
世界第1位の学力を誇るフィンランド教育法、その3つの特徴についてご紹介します。
1.授業時間が少ないのに世界第1位の教育水準
まず1つ目は、学校の授業時間の少なさです。
フィンランドの学校の授業時間は、日本よりなんと40日間も少ないことがわかりました。
そして驚くのはこれから。
なんとこの少ない授業時間で世界第1位の教育水準を維持しているのだそうです。
先ほどお話したように、フィンランドは学力の格差が少ない国。
つまり、ほぼ皆が高い学力を持っていることになります!
これはすばらしい…(*‘ω‘ *)
2.小学校から大学までの授業料が全て無償!
フィンランドでは、小学校から大学・専門学校までの授業料が全て無料で受けられるそうです。
教育の機会がすべての子供たちに平等に開かれているなんて、羨ましい限りですね。
日本でも私立高校の授業料無償化が始まっているものの、年収によって制限が設けられているなど平等とは言い難いのが現状ですし…。
しかも現在の日本では、大卒が当たり前という風潮になってきていますからね。
大学卒業までにかかる費用は、幼稚園から大学まですべて国公立でも約1,000万円、塾や習い事を含めるとそれ以上にかかるといわれていますし「そんなお金出せないから子供はあきらめよう」という人が増えているんだと思います。
国や地方自治体から助成が出るといっても世帯年収により格差があり、ほぼ全ての費用を負担しなければいけない家庭も多くあります。
将来的にはもらえる年金の金額もかなり少なくなるといわれていますし、自分たちの老後のことまで考えると子供を持たない選択をする夫婦が増えるのも当然と言えるでしょう。
ちなみにフィンランドでは、就学前のプリスクール(日本でいう保育園・幼稚園みたいなもの)も無償。
もちろん、親の就労を問わずです。
それに加え、日本だと当たり前に集めている給食費も無料だそうです。
日本もフィンランドを見習って教育や子育てにかかる費用を心配しなくてもいい国になれば、少子化問題も一気に解消するんじゃないでしょうか。
3.小学生は宿題もテストもなし!自主性に任せ個々の力を伸ばす教育
フィンランドの小学校では授業日数が少ないのに加え、なんと宿題やテストもないそうです(*‘ω‘ *)
もちろん、夏休みなどの長期休みも宿題はなし!
夏休みの終わりになって宿題に追われる心配はありません。
なんだか、日本の子供たちの羨ましがる声が聞こえてきそうですね(笑)
「学校で宿題やテストがないとちゃんと学力が身についているかわからないのでは?」と日本人の私たちは疑問に思ってしまいますが、フィンランドは学力水準が世界一というデータがある以上、宿題やテストがなくたって学力は身につくんだということが言えますよね。
それもこれも世界一を誇る読書量と、子供の自主性を育てるフィンランド式の教育の賜物ではないでしょうか。
10歳までの声かけの仕方で子供の将来のコミュ力が決まる!?
フィンランド式教育について調べていたところ、ある本が目に留まりました。
株式会社コスモトゥーワン から出版されている
『将来の学力・コミュ力は10歳までの「言葉かけ」で決まる』 という本です。
画像:コスモ21公式サイト-『将来の学力・コミュ力は10歳までの「言葉かけ」で決まる』
客室乗務員であった筆者はこの本の中で、今まで生きてきた中で一番大事なのは「コミュニケーション能力」だと痛感したと語っています。
「ミクシ?」 という言葉かけが子供たちの自主性・コミュ力を育てる
フィンランドでは日本のような知識を詰め込むことが主体の教育方法ではなく、子供に「miksi?(ミクシ? どうしてだと思う?)」とよく言葉かけする様子が見られるそうです。
この言葉かけこそが子供たちの豊かな自主性・コミュ力を育てる源となっていると、本の中で筆者は語っています。
ちなみにフィンランドの小学校では、大体10歳頃までにコミュニケーション教育がおこなわれているとのこと。
子供が良いことや悪いことをした時、日本では子供たちをほめたり叱ったりするのが一般的ですよね。
フィンランドでは、そこで終わらず「なぜそういうことをしたのか」という言葉かけを子供たちに向けておこないます。
こうすることで子供たちは自分で考え、答えを出すというトレーニングを自然におこないながら成長できるわけです。
フィンランドの子供たちは、小さいころからこのような疑問を提示する言葉かけを受けるのが当たり前の環境で育つので、自主性・コミュ力が伸びるのもわかる気がします。
フィンランド式の教育を行った結果、不登校や落ちこぼれになる子供たちは日本と比べて数少ないのだとか。
世界で学力が1位になるのも納得です。
ちなみにフィンランドは、幸福度が世界で1番高い国とも言われています。
学力も幸福度も1位って、最強ですね!(*´▽`*)
参考:コスモ21公式サイト-『将来の学力・コミュ力は10歳までの「言葉かけ」で決まる』
家庭でできるフィンランド式教育法で子供の自主性を伸ばそう
今日はフィンランドの教育改革や教育方法について調べてみました。
自主性やコミュ力をアップさせ、子供が主体性を持ち自ら学ぶ力を育むと言われるフィンランド式教育は、残念ながら今の日本ではほとんどお目にかかることができません。
というのも、知識を詰め込む教育を長らくおこなってきた日本にとっては、子供の自主性を重んじ、個々を大事にする教育に方向転換することは並大抵のことではないからです。
そこで大事になるのが「家庭での声かけ」です。
コロナ禍の影響で親子が過ごす時間が増えている今がチャンス。
10歳までのお子様がいるお家ではぜひ、「miksi?(ミクシ? どうしてだと思う?)」という声かけを試してみてください。
将来子供が自主性を求められる場面で困らないよう、子供が小さいうちから家庭を通して自主性を育んでいきましょう。